後見人に就任したらまずやることは?

新潟市で成年後見制度の業務をしている「司法書士法人トラスト」です。

トラストでは2025年現在、約130名の方の後見人(保佐人・補助人)に就任しています。

今回は、後見人についたらまず何をするのか、一例をご紹介します。

 

そもそも後見人の職務とは?

成年後見制度とは

認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が低下した人を支援するための制度です。

判断力が低下したために、各所への支払いが滞納したり、重要な契約ができなかったり、

第三者からの支援を受けなければ日常に支障をきたしてしまう人々を後見人が支援します。

 

後見人の役割

1.財産管理: 財産を守り、適切に管理します。

 (各所支払い・年金や生活保護費の受給・不動産の管理や売却・株や投資信託の管理・加入保険の管理など)

2.身上監護: 生活や健康を守るための支援を行います。日々の介護や買い物などの生活支援は含まれません。

 (入院手続き・施設入所手続き・介護医療サービス手続き・介護医療の契約)

3.報告義務: 制度を管轄する家庭裁判所に対して業務の報告をする義務があります。

        事務報告や現在の状況、財産目録や年間収支など様々な資料の提出が求められます。

 

以上はあくまで一例であり、例えば負債を抱えている方なら、後見人が年間収支を熟慮しながら返済計画を立てたり、破産手続きがあったりします。相続手続きがある方なら、本人に代わり後見人が他相続人との遺産分割協議に参加します。

その方の状況より職務内容は実に多種多様ですが一貫して、判断力が低下した本人に代わり、後見人が財産や生活を守るのが職務なのです。

 

 

 

 

 

 

後見人に就任したら、まずは何をすればいい?

■ 銀行・保険会社・証券会社などへ届出

保有財産を管理している各会社に後見人が就任したことを届け出る必要があります。同時に、正確に財産内容を把握できるよう、通帳口座の残高証明書や証券再発行などを依頼します。また今後の手続きがしやすいように、書類の送付先を本人住所から後見人の住所へ変更しておきます。

 

■ 年金事務所や行政への届出

市税(固定資産税・住民税)、 介護保険、 国民健康保険、後期高齢者医療保険、 重度障がい医療費助成受給者証、などその方の状況に合わせて、各所へ後見人就任の旨を届出し、今後の手続きがしやすいように書類の送付先を本人住所から後見人の住所へ変更しておきます。

 

■家庭裁判所への初回報告

上記で調査した保有財産目録や年間収支表などを、家庭裁判所へ提出報告します。なお、成年後見制度を管轄する家庭裁判所には、年に1度の定期報告が義務付けられています。これにより、後見人がきちんと職務を全うしているか、財産の横領をしていないかなど、不正の抑止力となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

後見人に就任したらまずやること、いかがでしたでしょうか。

1人の人間の生活にかかる手続きの代行というと、本当に幅が広いものです。多種多様な知識や経験がないと、すべての職務をやり切るのは至難の業だと思います。

親族後見人の方は、親族として日々の介護や買い出しなども担いつつ、後見人職務をしなくてはなりませんので本当に大変なことと思います。

中には長年、親族後見人として活動してきたけれど、自身も高齢となったり、他の家族の介護などで、後見人を辞任したいと相談に来られる方もいます。

高齢社会となり、ますます後見制度への関心が高まってきています。成年後見制度については、ぜひ経験豊富な司法書士法人トラストまでご相談ください。