申立の実例【代理権付与の申立】

弊所は、家庭裁判所への成年後見開始申立や、後見人などへの就任を通じて、ご高齢者や知的・精神障がい者の方々の生活と権利をお守り出来るよう日々尽力させていただいております。今回は、後見人就任中の申立実例についてご紹介いたします。

現在3桁を超える方々の後見人に就任しておりますが、以下の政策が発表されたことをきっかけに、就任している方々のマイナンバーカードの取得申請に順次着手しております。


・厚生労働省より示されたマイナンバーカードと健康保険証の原則一本化の方針に基づき、従来の健康保険証は令和6年12月2日に廃止され、新規の発行が終了

・マイナ保険証が基本となる仕組みに移行するため、マイナンバーカードの発行が必須に


手続きを進めるにあたって、一つ問題が。「後見、保佐、補助」といった後見類型中「後見」類型の方であれば、サポートするご本人の判断能力が非常に乏しく包括的な代理権行使が必要なため、マイナンバーに係る手続きを行うことに問題はありません。

しかしながら、マイナンバー政策以前に就任した「保佐」「補助」類型の方には、申立時の「代理行為目録」にそもそも上記手続きに必要な「個人番号(マイナンバー)に関する諸手続」の代理権の欄が存在していませんでした。ご本人に代わって法律行為を行うことができる権限である代理権無きまま行えないため、家裁より新たに代理権を与えてもらう必要が生じたのです。そのため、「代理権の付与の申立」を進めることになりました。申立に必要な書類は以下の通りです。

① 申立書 ※以下は被保佐人に対する申立書の例です。

弊所は、2ページ目の「申立の理由」に以下のように記載いたしました。

 

このように、付与しようとしている代理権がご本人に必要である正当な理由を明示する必要があります。

 

② 代理行為目録
代理行為目録には、以下のように新たに代理権を追加する項目のみにチェックを付けました。すでに代理権が付与されている項目へのチェックは不要です。

これで一見書類が揃ったようにも思えますが、実は一番大切な書類が残されています。
それは、ご本人の「同意書」です。なぜなら、被保佐人や被補助人の方の判断能力は残っているので、本人の意思を確認する必要があるからです。どんなに必要な法律行為であっても、本人が同意しない限り代理権は付与されません。

 

③ 同意書

申立書作成と同時進行でスタッフそれぞれが担当しているご本人を訪問し、マイナンバーカードに係る代理権の必要性についてじっくりご説明、ご納得頂いた上で同意書に署名捺印を頂きました。こうして以上3点の書類を揃え申立を行い、代理権を付与することが相当として家庭裁判所より受領したのが以下の審判書です。

 

ちなみに上記審判は、枠内のマイナンバーに関する代理権はもちろんのこと、その他の代理権付与も同時に申し立てたケースをご紹介しております。上記被保佐人の方に就任した令和元年当時は、マイナンバーに関する代理権以外にも携帯電話に関する手続き、住民票異動の代理権についても、申立時の「代理行為目録」に代理権の欄が存在しておらず、住宅等の解体・処分についても代理権の必要性が生じたため、代理行為目録には、新たに代理権を追加する項目のみにチェックを付けて申立を行っております。

これでやっと代理権を得ることが出来ましたが、これはまだ申請への第一歩。マイナンバー申請手続きに必要な、カード掲載用のご本人の顔写真収集も行っております。スタッフがカメラマンとなり福祉関係者の方々の協力を得ながらお写真を撮らせていただくこともあり、ご本人と触れ合う貴重な機会を頂けていることに感謝しながら業務をすすめている今日この頃です。

これからも、どんな問題も解決すべくご本人に寄り添った支援を行ってまいります。

「遠方に住んでいる高齢の親族の支援が難しい・・・」「身寄りがいない・・」などお悩みの方は、経験豊富な司法書士法人トラストがお手伝いいたしますので、お気軽にお問い合わせください。