申立の実例【類型変更の申立】

弊所は、家庭裁判所への成年後見開始申立や、後見人などへの就任を通じて、ご高齢者や知的・精神障がい者の方々の生活と権利をお守り出来るよう日々尽力させていただいております。

今回は、以下のような問題を解決すべく家庭裁判所へ申し立てた実例についてご紹介いたします。


・トラストが保佐人に就任している方の入院が長引き、入居していた施設より退去を求められた。
・賃貸契約型の施設退去にあたり、ご本人の同意を得たうえで居住用不動産の処分を行う必要性が生じた。
・しかしながら、病気の後遺症によりご本人の判断能力の低下が顕著
・施設退去に係る意思確認が出来ず、保佐人として手続きに着手出来ない状態に。


そこで、現時点でのご本人の認知能力について主治医に診断書を改めて依頼した所、「後見相当」との診断でした。もしご本人が被保佐人から「常に判断能力を欠いている状況にあるもの」と定義されている成年被後見人となれば、後見人には包括的な代理権が与えられます。通常、法律行為を代理人が行う場合には、ご本人から委任の意思確認を取る必要性が生じますが、後見人の場合にはこれを必要としません

今後の居住用不動産処分を進めるべく、医師の診断書に則り「保佐から後見へ」類型変更を行う事になりました。

さて、家庭裁判所の手続において、類型変更の手続きはどのように行うのでしょうか。
代理権付与申立や特別代理人選任申立のように、指定の書式が用意されているのでしょうか。

実は、類型変更の申立といった書式は存在せず、新たな類型で改めて申立を行うことになります。新たな類型の開始の審判とともに、すでになされた審判は職権で取消しされる、という流れになります。

そこで、以下の通り「後見開始の申立」を進めました。

 

【1 申立書作成】

① 申立書(1ページ)

「実際に住んでいる場所」欄には入院中の病院名を記載しました。

① 申立書(2ページ)

「具体的な事情」記載欄には、類型変更に至る経緯を記載いたしました(一部省略)。

① 申立書(3ページ)

「本人との関係」記載欄には、現保佐人と記載いたしました。

 

上記一覧の通り添付書類を揃え、トラストより家庭裁判所へ申立書類を提出いたしました。

 

【2 家裁より審判受領】

しばらくして、家庭裁判所から後見の申立が相当として受領したのが以下の審判書です。

後見開始の審判とともに、職権により保佐取消の審判がなされています。

無事審判を受領したので、居住用不動産の処分申立を進めることが出来ました。

 

これからも、どんな問題も解決すべくご本人に寄り添った支援を行ってまいります。

「遠方に住んでいる高齢の親族の支援が難しい・・・」「身寄りがいない・・」などお悩みの方は、経験豊富な司法書士法人トラストがお手伝いいたしますので、お気軽にお問い合わせください。