実例!成年後見制度【よくあるご質問~施設入所について~】
Q. 高齢で一人暮らしをしている母がいますが、最近、軽度の認知症との診断を受けたため、今後の生活が心配です。一人暮らしが困難になった場合には施設入所を検討していますが、私自身、遠方に住んでおり、仕事もあるため、入所となった際に手続きをするのが困難な状況です。財産管理等の定期的な支援にも限界があるため、この機会に成年後見制度の利用を検討しています。
施設に入所する際には身元保証人(身元引受人)を用意するように求められるケースがほとんどだと聞いたのですが、そんな施設入所手続きも成年後見制度を利用することで後見人に手続きお願いすることは可能なのでしょうか。
A. はい、後見人が施設入所手続きを行うことが可能です。入所にあたり、施設からの説明を聞いて内容を確認し契約を交わしますが、その手続きは後見人だけで行うことが可能です。
施設入所にあたり、どの施設にするか検討しなければなりません。
決定する上で被後見人の従来の生活を考慮することが大切だと考えますので、後見人はご家族の方やご本人の介護支援者(ケアマネ等)と協議し施設を決めています。
施設に入所してからも後見人が出来ることは多数あります。
・施設利用料、医療費の支払い
・ご本人に面会し、ご様子を遠方のご家族にお伝え
・必要な介護福祉サービスが受けられるようにするために行われる福祉関係者との会議への参加
一般的な後見人の役割は、このようなものが多いですが、トラストでは施設で必要な物品(日用品・衣服等)の購入お届けも行い、被後見人が安心して過ごしやすい入所生活づくりに尽力しています。
施設で生活をしていく中で、被後見人の状態が変化していくことも考えられます。その場合には、より本人に合った介護福祉サービスが受けられる施設への転所を検討し、転所の際には転所手続きやそれに伴う住所変更等の手続きを行っていきます。
また、質問にあったように、現在、施設入所時には身元保証人(身元引受人)を求める施設が多くなっています。理由としては施設としても費用の滞納があると困るため、入所者とともに責任をもって施設費用等を支払ってくれる人を用意してほしいということです。
しかし、成年後見人は入所希望者の財産を管理する等の法定代理人であることから、利益相反にあたる身元保証人(身元引受人)になることはできません。
また施設のなかには、入所予定者に成年後見人が就任していることにより金銭管理や複雑な法的手続きを成年後見人が行うため、施設の利用料の滞納やトラブルによる退去などが起こりにくくなるという理由から、後見人が就任していれば身元保証人(身元引受人)は不要とする施設もあります。
身元保証人(身元引受人)を求められるのは施設入所時だけでなく、医療機関への入院時にも求められることが多いです。
その際の身元保証人(身元引受人)の役割は入院費の支払い保証と緊急時の連絡先です。そのため、本人に支払い能力がなければ身元保証人(身元引受人)が保証し、本人が急変した場合等には緊急連絡先として、医療機関から身元保証人(身元引受人)に連絡がいきます。また、本人による意思決定が確認できない状態であれば、医療同意、治療方針の判断も求められます。
こういった入院の際にも、後見人が身元保証人(身元引受人)になることが出来ませんので、ご家族、ご親族に身元保証人(身元引受人)にお願いしております。
後見人として、被後見人が入院中には入院費の支払いや入院診療計画書等の確認等が可能です。
こういった入院時等の緊急時はいつ起こるか分からないため、遠方にご家族がいらっしゃると急な対応は難しいですよね。後見人が就いていれば、こういった対応も可能になります。
このように、施設に入所するという生活環境が大きく変わる状況のなかでも、後見人がお手伝いできることは多岐に渡ります。
一度ご家族で成年後見制度についてご検討されてみてはいかがでしょうか。
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