市役所や銀行の手続き例

弊所では、いろんなご事情をお持ちの方の後見人・保佐人・補助人に就任しております。

今回は、弊所で就任した次のような方への対応例をご紹介いたします。


Aさん(75歳)

・長年アパートにて一人で暮らしていたが、ここ数年で認知能力が低下してきた。自分名義の5つの口座からお金を出し入れし財産を管理してきたが、家賃や光熱費の自動引落しができず、滞納してしまうことがあった。

・そんな中、脳梗塞を発症し緊急入院となった。一命はとりとめたが、身体にマヒが残り、今までと同じような生活が出来なくなってしまった。

・頼れる親族や身内が近くにおらず、病院の相談員より成年後見制度の利用を勧められて、弊所が保佐人として就任した。


対応例

弊所では、このAさんに対して以下のような対応を行いました。

  • 口座の整理

Aさんは口座を5つ保有しご自身で管理しておりました。保佐人就任後、各取引明細を確認したところ、a口座には年金が毎月振り込まれており、b口座から家賃の引落し、c口座から光熱費の引落し、残りの口座は所持金が貯まったら入金し、生活費が足りなくなれば払い出しておりました。そのため、複数の口座を保有している必要はないと考え、本人にも説明したうえで、b口座とc口座から引落しされているものをa口座から引落しがされるように変更し、所持金の出し入れをしていた口座も含めて解約をし、a口座のみで財産管理が出来るようにしました。家庭裁判所からも財産管理が複雑化にならないように口座集約を勧められています。

 

  • 身体障がい者手帳の取得

Aさんは今回の脳梗塞をきっかけに身体にマヒが残り、車いす生活になったことから、障がい者手帳を取得できるのではと考え、入院先の病院のソーシャルワーカーに相談し手続きを進めることにしました。診断書を手配し、市役所にて身体障害者手帳の申請を行い、取得までに1~2ヶ月かかりました。

 

  • 重度障がい者医療費助成(マル障)の申請

重度障がい者の福祉向上を図るために、障がいのある人で所得が一定の基準以下の人を対象に医療費の一部について助成を受けることができます。Aさんは身体障がい者手帳を取得できたため、改めて手帳を持参のうえ、市役所にて申請を行いました。

Aさんは重度障がい者医療費助成対象となり、病院への受診・入院、訪問看護サービスを受けた際等に、保険適用された自己負担分のうち、受給者から一部を負担していただき、残りを重度障がい者医療から助成を受けられるようになりました。

 

  • 特別障がい者手当の受給手続き

Aさんは年金収入が少なく、今後は施設利用料を支払いしていかなければなりません。そこで、Aさんの収支を見直し、特に収入については、受給できる給付金や手当がないか確認をしたところ、20歳以上の在住の方で日常生活において常時介護を必要とする方を対象にもらえる特別障がい者手当の制度があり、Aさんの場合この制度を利用できることが判明しました。そこで、受給手続きを行ったところ、月額28,840円を受給できるようになりました。

ご本人が住んでいらっしゃる住所地によって利用できる制度やもらえる手当、給付金が異なってくるため、都度、利用できるものがないか確認を行っております。

 

この他にも、Aさんは一人暮らしをしていましたが、今後は独居生活を継続することは難しいことからアパート退去と賃貸借契約の解約し、施設入所を進めていきました。

Aさんは被保佐人のため、様々な手続きをするにあたり、Aさん本人に説明して、確認をいただき進めていきました。

弊所では定期的にご本人に面会し、話を聞きながら困っていること、心配なことはないか確認することを大切にしております。