申立の実例【特別代理人選任の申立】
弊所は、家庭裁判所への成年後見開始申立や、後見人などへの就任を通じて、ご高齢者や知的・精神障がい者の方々の生活と権利をお守り出来るよう日々尽力させていただいております。
今回は、以下のような問題を解決すべく家庭裁判所へ申し立てた実例についてご紹介いたします。
・既にトラストが成年後見人に就任している方の配偶者が逝去されたことで相続が発生。
・ご本人と、共同相続人となる娘様にもトラストが保佐人として就任している。
さて、上記のどこが問題なのでしょうか。
それは、トラストが双方の後見人並びに保佐人のため、遺産分割などの一定の手続きにおいて利益相反が生じてしまう、ということです。認知症などで判断能力が低下した成年被後見人に代わって契約などを行う成年後見人が、双方どちらかの利益を優先するなどして本人の利益が不当に侵害される可能性があるからです。
そこで、まずは「特別代理人選任の申立」を進めることになりました。もしこのまま遺産分割協議をした場合、代理する権限がないのに勝手に代理行為を行う「無権代理行為」に該当するため、遺産分割の効果が原則として本人に効果が帰属しないこととなるため注意が必要です。申立に必要な書類は以下の通りです。
【1 申立書作成】
① 申立書 「本人」欄にはトラストが成年後見人に就任している方を記載しました。
2ページ目の特別代理人候補者の欄には、事前に候補者の承諾を得ていた方のお名前を記載いたしました。ご本人とその娘様の双方に利害関係が無い方であることが必要です(一部文章省略)。
②添付書類 以下の書類を添付いたしました。
・特別代理人候補者の謄本写し、遺産分割協議書案、本人の法定相続分が確保されていることがわかる書面
上記を揃え、トラストより家庭裁判所へ申立書類を提出いたしました。その後家裁と候補者との間で照会書のやり取りがあり、問題ないと家裁が判断いたしますと以下の流れに続きます。
【2 申立人への照会書、回答書を家裁へ返送】
①照会書 以下の照会書に添付された回答書を家裁へ返送いたしました。
②回答書 以下の通り回答いたしました。
【3 家裁より審判受領】
以上のやり取りを踏まえ、家庭裁判所から特別代理人の申立が相当として受領したのが以下の審判書です。
審判を受領したので、選任された特別代理人から遺産分割協議書に署名捺印頂き、その後の相続手続を無事行うことが出来ました。これからも、どんな問題も解決すべくご本人に寄り添った支援を行ってまいります。
「遠方に住んでいる高齢の親族の支援が難しい・・・」「身寄りがいない・・」などお悩みの方は、経験豊富な司法書士法人トラストがお手伝いいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
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