申立の実例【居住用不動産処分許可の申立】

弊所は、家庭裁判所への成年後見開始申立や、後見人などへの就任を通じて、ご高齢者や知的・精神障がい者の方々の生活と権利をお守り出来るよう日々尽力させていただいております。

今回は、補助人就任中の方の申立実例についてご紹介いたします。その方は以下のような問題を抱えておりました。

 


・施設入所中の方で、入所前に住んでいた自宅(亡くなった親御様名義)が空き家状態となっている。

・しかしながら、ご本人は車いす生活で常に第三者の支援が必要なことから今後の在宅復帰は望めず空き家の管理も高齢のご親族には大きな負担に。

・空き家放置による隣家への庭木の侵入や老朽化した建物の壁の崩落被害不審火の恐れもあるため、補助人として早急に対処する必要がある。


 

そこで、まずはご本人の意思を確認し自宅不動産の売却を進めるべく、「居住用不動産処分許可の申立」を進めることになりました。家裁の許可を得ずに売却を行った場合、その売却行為は「無効」となり、売却代金の返還はもちろんのこと買主から損害賠償を請求されるリスクもあるので注意が必要です。申立に必要な書類は以下の通りです。

 

① 申立書 ※以下は補助人に対する申立書の例です。

 

2ページ目の「申立の趣旨」には以下のように記載いたしました。

また、「申立の実情」には、以下のような項目について記載する必要があります。

 

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・ご自宅を「今」「このタイミングで」売却処分しなければならない理由
・本人の在宅復帰が極めて困難である理由
・自宅を売却処分してもご本人の将来の生活に支障が生じない理由
・処分する不動産の価値に対する売買価格が適切な理由
・ご本人が不利益を被らない内容の売買取引となっている理由

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詳細は割愛いたしますが、下記の書き出しと結びで作成いたしました。

 

②物件目録
物件目録を作成し、3ページ目として申立書と一緒に綴じ込みます。

 

③添付書類

申立書における「必要性」「相当性」の説明のほか、その裏付資料として以下の書類を添付いたしました。

・売買契約書案、2社分買取見積書、解体見積書、不動産の名寄帳、不動産の登記情報、公図、住宅地図、買主の履歴事項全部証明書

 

【審判】

以上の書類を揃え申立を行い、家庭裁判所から居住用不動産の処分が相当として受領したのが以下の審判書です。

 

無事審判を受領したことをご本人にご報告した所、残してきた自宅が気になっていたので安心しました、と感謝の言葉を頂くことが出来ました。これからも、どんな問題も解決すべくご本人に寄り添った支援を行ってまいります。

「遠方に住んでいる高齢の親族の支援が難しい・・・」「身寄りがいない・・」などお悩みの方は、経験豊富な司法書士法人トラストがお手伝いいたしますので、お気軽にお問い合わせください。